「混雑防止のための交差点への進入禁止」

〔法の根拠〕

法第50条(交差点等への進入禁止)

 交通整理の行われている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の後方の車両の状況により、交差点(交差点内に道路標識等による停止線がもうけられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項ににおいて同じ。)に入った場合においては当該交差点内で停止することとなり、よって交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入ってはならない。

(罰則)5万円以下、過失5万円以下(1点)

(解説) 信号機の信号が青であるからといって、前方の交通の混雑状況を無視して交差点内に進入した場合には、交差点内で停止し、停止状態を続けざるを得ない場面が生じかねない。このとき信号が変われば交差方向の交通は青になっても動くに動けず、たちまち信号の機能は麻痺し、交差点付近の交通は混乱し、安全で円滑な交通秩序を保てなくなってしまう。本項はこのような事態を防止するため対面する信号が青色の灯火であっても上記のような事態が予想されるときは、その交差点に入ってはならないこととした。

 この規定が「交通整理の行われている交差点」に限られているのは、交通整理の行われていない交差点では、車両等の優先関係の規定や運転者相互の譲り合いによる融通性があり、交差点の機能が麻痺することが少ないと考えられるからである。

 

「停止禁止の表示部分への進入禁止」

「踏切、横断歩道または自転車横断帯への進入禁止」

〔法の根拠〕

法第50条第2項(交差点等への進入禁止)

 車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分にはいってはならない。

(罰則)5万円以下、過失5万円以下(1点)

 

(解説) この規定は、横断歩道における歩行者、自転車横断帯における自転車、踏切通過の列車等、緊急用務に出動する緊急自動車等の安全で円滑な通行を確保し、あわせて事故防止を図る趣旨である。

本項でいう「道路標示によって区画された部分」とは、標識令に定められている規制表示「停止禁止部分(107)」であり、一般的には消防用自動車の出入口や警察署、その他公共用交通機関として運行される路線バス等の車庫又はターミナルの前などに設けられ、このような場所で車両が停止することにより著しい支障が生ずることを防止するためのものである。

「これらの部分に入ってはならない」とは、進路の前方の車両等の渋滞などにより、車両等が横断歩道、時点車横断帯、踏切または停止部分へ進入してその部分で停止するおそれがあるときは、他の車両等や歩行者の通行を妨害するかしないかにかかわりなく進入してはならないとの意味である。

 この場合、車両等はこれらの部分の手前で一時停止しなければならないが進路の前方の車両等の状況により、当該部分内に停止することなく進行することができる状態になったときは、発進することができる。